IDEA・WORKS weblog 沖縄の建築設計事務所イデアワークス

イデアワークスのウェブログ・建築デザイン、空間デザイン、建築プロダクトデザイン、リノベーション、質感、出逢いなどを綴るブログです。

「新しい」ということ

新しいプロジェクトに取り組むとき、
何処か、何か「新しいこと」に挑戦したくなる。


「新しい事に挑戦する」


と、言うか今までにないものを創りだしたい、とか、
とにかく「今までと同じものは創りくない」そういう感じだろうか。


私たち設計者、クリエイターの価値は、設計、物創りを通じて、
建築に付加価値を与える事だと考えているので、
どうしても「今までと違うもの」を創りたくなる。


それはもう設計者の「本能」の様なものだと言ってもいいだろう。


しかし、いくら「新しい事」を求めたとしても、
それが新奇さを競うようなものではあってはいけないと思う。


一建築家のエゴや自己満足の創意だけで、
単純な目新しさや奇妙な形態や色で注目を集めたとしても、
それは一過性、一回性のもので、建築本来の真意、価値ではない。


物珍しさに、興味の対象として捉えられるだけで、
飽きられると誰も見向きもしなくなってしまう。


問題なのは飽きられること、
というよりも本質を捉えていない、と言う事だろう。



本質を捉えずに目新しさだけで、
勝負をするような設計者、クリエイターにはなりたくない。


しかし本質を捉えるということは、
今までずっと作り続けてきた建築たちから、
自然と炙り出されるようなもので、
つまるところ「新しいこと」はそんなになくなってしまう。


建築の本質は、いくら時代が変わっても、
多少材料や関係する法律が変わったとしても、
そんなに変化するものではないだろう。


つまり建築というのは変化のスピードがものすごくゆるやかで、
携帯電話や車のように、
季節ごとに新しいものを発表できたりするものではない。


消費の対象として建築を捉えると、
それらと比較してしまうけれど、
全く違う速度で建築はつくられていると言える。


では「新しいこと」は何もないのか?


と言われると、私は「ある」と答えたい。
そのよりどころは「建築は一品生産で全てが特殊解である」ということ。


建築は似たような条件で、似たようにつくられているようで、
実はそれぞれが少しずつでも条件が異なる。


異なる与条件で全く同じものは創られない、創れない。
その与条件の違いを徹底的に検証することで、
本質的でかつ「新しい事」が実現する建築を
生み出すことができると信じている。


だから僕たち設計者、クリエイターはどれだけ与条件の検証が、
徹底的にできるかどうかが大切なのだろうと思う。



目先の新奇さに囚われていては、
僕たち設計者、クリエイターは自分自身の価値を失ってしまうだろう。


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by YAKENA


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Posted by YAKENA ISAO at 2008年07月26日   09:11
Comments( 0 ) 【素感】Impressions
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